47人が本棚に入れています
本棚に追加
荒い息、飛び散る汗、牡の饐えた匂い。
ぐちゅり、ぶちゅりと腰をやるごとに、ルキアノスの体内で自らが大きさを増してゆく。硬く硬く、張り詰めてゆく。
枕をかき抱くように掴みしめている、ルキアノスの横顔が見える。その顔を眺めながら、腰をやる。
体が大きく揺れるたびに細めた眼を閉じ、うっとりと息を吐くその顔が憎らしい。
「ルキアノス、そんなに。そんなに気持ちが悦いか? ルキアノス!」
騙し討ちで体を嬲られながらも、悦楽に身も心も蕩かしてしまっているルキアノスが憎らしい。
ギルの体に、強い波が訪れた。射精感が湧きあがる。
「ッく!」
急いで、抜いた。
ルキアノスの体内から、分身をずるりと抜き出した。
「あぁ……」
はぁはぁと荒げた息のルキアノスの目線が、ギルと交錯した。透き通る青い眼には、快楽で流した涙がにじんでいる。
狡い。
そう、狡いのだ、こいつは。
幼い頃から、そうだった。
私が必死で努力してようやく手に入れるものを、難なくその手に掴み取る。
今もそうだ。どうして私がルキアノスのために、奴を悦ばせるために必死で動かねばならないんだ?
「ルキアノス、交代だ」
「……え?」
「同じようにしろ、私に。今すぐにだ」
「ギル……」
呆けたような、ルキアノスの視線。
聖地中の人間の心を掴んで離さない凛々しい光はなく、ただうつろにギルの動きを追っている。
俊敏な動きはすっかり影をひそめ、ただ鈍重に寝台の上を這う。
最初のコメントを投稿しよう!