第3章 終演

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そして、彼女は、俺が、幕を下ろす前に、舞台から降りて、こう、つぶやいた…。 「童貞じゃ…無い…。」と言って幕をおろして…。 開き直った様に「童貞じゃない…。」と言い直して、こう、つぶやいた…。 「また、しよう、勿体無いよ…。連絡先を教えて、ね♪」と言ってくれたので、遊びで作った名刺を渡した…。 「わかった…。また、後で、連絡するね…。」 そして、彼女は、こうも言ってくれた…。 「私は、帰るけど、野宿しちゃ、駄目よ…。後、ここのお釣りは、全部あげるから…。ね…。」 と言って彼女は、去って行った。 そして、舞台は終演を迎えた…。 だが、俺は、結局、眠れずに朝を迎えた…。 カウンターへ向かうと、 「はい、お釣り…。」と一万円からのお釣りが、全て渡されて、その額の多さにかなり、驚いた…。 俺は、何処にいるのか、分からなかったから、取り敢えず、タクシーで、いつも根城にしていた、勾当台公園へと向かった…。 その後、吉野家で、牛丼を食べてから、いつも通り、帰宅した…。 そして、家で、睡眠を取ってから、交通事故にあった後の治療を受けに病院へと向かった…。 だが、いつも、優しく治療をしてくれていた筈の看護婦さん達が、肩を見るなり、急に立ち去った…。 そして、年配の看護婦さんが来て、 「この肩、どうしたの?」と問われ、やっと、その肩に歯形がある事に気付いた…。 そして、治療を終えて、いつも通り、ナイトクラブ怪人二十面相の紹介者に会いに、ファミリーへと向かった…。 そして、その紹介者から、驚くべき事実を聞かされた…。 「よう、おめでとう、男になったそうだな…。相手は、36歳の人妻、気持ち良かっただろう…。店の奴、常連客を取られたってぼやいてたぞ…。」 と、いたずらに笑っていた…。 人妻…。このまま、交際を続けたとしても、俺は、彼女と共に暮らす事は、赦されない…。 俺は、絶望に立たされると同時に、俺が好きだった大切な女性を裏切った事にまた、罪の意識を感じた…。 そう、その時、俺は、快楽は、時に、傷を遺す事を痛感した。 こうして、俺の傷物語は、終演を迎えた。 そして、この日から、彼女を探して、そして、仙台市のアーケード街のストリートミュージシャンや、一癖も二癖もある連中との交流の物語の幕が開ける。 To be continued!
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