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「姫よ、窓の外を見てくれ。遠くに禍々しい城が見えるだろう。あれが魔王の城だ。ああ、なんてことだ、占い師の予言が当たってしまった!姫が戻るときに魔王も復活するというあの予言!当たってしまった!災いが起きるぞ、これは!」
王様は不安そうな顔をしています。王様が指さす方向を見ると、たしかに黒くて大きな城がありました。いかにも魔王の城です。こっちの天気は晴れてるのに、魔王の城周辺はもう黒い雲が漂っていて雷が鳴っています。ああ、いかにも魔王の城だなあ、という感じでした。あの魔王の城から、ここまで怒鳴り声が飛んでくるんだなあ、となんだか悲しくなりました。
「美しい姫は城の中に隠れておれ」
「美しい姫様、私たち小人軍団が魔王からあなたを守ります」
「美しい姫のために俺はまた米作りを頑張るぞ!」
色んな人に美しいと言ってもらえて、正直、私のテンションは上がってました。でも、あの禍々しい魔王の城を見ると、責任を感じずにはいられません。あの城にいる魔王こと編集は私がこの世界に連れてきてしまったのだから。
「私、あの魔王を倒してきます」
「おお姫!行くでない!魔王は危険だ、危険すぎる!」
王様が心配な表情でひきとめてくれました。はい、よく知っています。でも、私はキラキラしたお城を飛び出しました。やっぱり、あの魔王は止めないといけないな、と思ったからです。
「つまんねー展開早く終わらせろ!俺を悪役にしたところで面白くねーんだよ、カスが!」
そう言う編集の声!もう、ほんとにネガティブなことしか言わないんですね。
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