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美咲は、ウルウルと上目遣いをしてみた。
相手が男なら、騙されずとも、しょうがない奴だと甘やかす所だが、葵には通じない。
「……普通に覚えてるけど。聞くがあんたは、それで良いのか? せっかく親友がプレゼント用意してきたっていうのに」
葵は、ジトッとした視線を美咲に送ると、ロッカーに入れていたカバンを出して、中を開いて見せた。
そこには、可愛いリボン付の包み紙が見えた。
「ううっ」
まっ、眩しい!? 美咲は親友の回復魔法で大ダメージを喰らった。
そんな気分になった。
アンデッドか私は、と思った。
「……そうだ。じゃあ、サキッチが全国に行けたら、買ってあげる」
自身の卑しさで心に傷を負った美咲に対して、葵は何かを思いついたのか、譲歩の姿勢を見せた。
「パンツのハードル、高くない!?」
美咲は抗議した。
もちろん、そんな立場じゃない事は分かっている。
「じゃあ、午後はノーパンで頑張るのね。せっかく昨日iDも導入した事だし、パンツの画像でも貼れば風が吹いても大丈夫だしね」
iDとは、iDEVICEの略で、一般的なナノマシンタイプのデバイスの事だ。
体内に常駐させて使う、高性能なスマートフォンを想像してもらいたい。
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