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急に声にドスをきかせるのは、まだ怒ってはいないが、それ以上は本当にやめろの合図である。
「葵ちゃん痛いよぉ。脳細胞が死んだらどうするの」
もう、と言いながら葵は着替えを続ける。
「コブの分有利になったと思いなさい、まったく」
「頭からゴールしたら、またコブになっちゃう」
「ほら、脳細胞はまだ大丈夫そうよ?」
「ううう」
口では勝てない美咲は、頭をさすりながら気を取り直した。
「しかたない。今日は、葵ちゃんのご要望に応えるとしますか!」
と、ワザとらしく気合を入れてみせた。
「……パンツの為だろ、さ、お待たせ、行こう」
と、水着に着替え終わった葵は、仁王立ちする美咲のお尻をパチンと叩いた。
美咲は、葵の不意打ちに「ひゃん」と変な声を出し、恥ずかしそうに叩かれた所をさする。
「気合入れなさいよ。とびっきりセクシーなの買ってあげるから」
葵が美咲に腕を見せた。
表示されている画面には、かなり際どいデザインの黒いレースの下着がネットショッピングのカートに入れられていた。
間違いなく勝負下着である。
値段もお高い。
美咲の順位が決まった瞬間に注文し、会場に宅配してもらえば、店に買いに行くよりも遥かに早いので実に合理的である。
「そこは、可愛いデザインのにしてよぉ」
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