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地底湖を照らす天井の大穴からの光が反射して、地底湖の天井は幻想的な雰囲気に包まれている。
改めて見上げてみるが天井までの高さは、iDで測ると、低くても200メートル、高い所だと500メートルを超えていた。
その地底湖の水中では、巨大な複数の影が変わらず悠々と泳いでいた。
地底湖は、対岸まで推定数キロの大きさがあり、地底湖の向こうには、反対側と同じように鍾乳石の柱や、森や草原が延々と広がっていた。
地下にも関わらず、高い天井の下を飛ぶ鳥の群も見えた。
この広大な地底空間では、美咲の位置からでは、どの方向にも果てが見えなかった。
美咲は、iDの撮影機能を使って、全天球パノラマ写真を撮影した。
かなりテンションが上がっているのを感じる。
くしゅんっ!
くしゃみが出て、途端に現実に引き戻された。
この程度の高さだが、遮るものがない分、吹けば風は強くて寒かった。
現実に戻ると、ここは一人でいるには広すぎる。
そんな事に気付くと、途端に心細くなってきた。
「おーーーーーーーい、誰かいませんかーーー!?」
森の中から、美咲に答える様に獣の呻き声や鳴き声が聞こえてきた。
美咲は、自分の口をつぐんだ。
背を低くして周囲を見回すが、何も変化したようには見えない。
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