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ホッとしつつ大きな溜息をつくと、美咲はその場にへたり込んでしまった。
黄昏る。
そんな表現がピッタリだった。
事態を受け入れる勇気が湧くまでに、その場で景色を眺め、体感で1時間の時を必要とした。
実際は、時計を見ると10分程度だが、とにかくえらく長くに感じたという事だ。
どうやら、一向に夢から目も覚めないし、誰かが目の前を通りがかる事も、お迎えに来る事も無いらしい。
メッセージは、相変わらずのオフラインで誰にも送れない。
視界の端で、ロッテがメールを持ち帰ってくる演出も見飽きてしまった。
マップに至っては表示をしても日本を指したまま、現在位置が分からないと衛星を探し続けている。
利用制限時でも使える緊急連絡も、まったく繋がらずに、試すたびに視界の端でロッテが困っていた。
これは、異世界だろうか?
どうやって、いつ移動したのか?
どうして私が、なんでこんな所に?
考えれば、似たような疑問がループするが、答えは一つも出ない。
身体は、すっかり乾いていたが、美咲の身体はとても冷えていた。
寒さに耐えられなくなった美咲は、重い腰をあげて移動を決意した。
とにかく人を探そうと思ったのだ。
ここにいても、きっと何も起きない。
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