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衝突部位は大きく変形し、内部の構造が剥き出しに見える。
空中戦艦の上方の雲には大穴が開き、強烈な日の光がスポットライトの様に直下を照らし出していた。
まるで、どこにも逃げ場は無いと知らしめるように。
「あいつは!」
大蜥蜴の背中に乗って森を疾走しながら、青年が振り向き空を見上げた。
そこには、全身から黒い靄を放つ巨体が見えた。
空中戦艦の上部装甲に体当たりしたそいつは、30メートルクラスの巨大な竜だった。
空中戦艦は、まだ生きている全砲門を竜に向けると、一斉射撃で迎え撃った。
上空は完全な戦闘状態となり、地上は悪戯にとばっちりを受けて、底知れぬ地獄へと化していく。
空中戦艦が放つ高速の砲弾も竜燐に弾かれて地上へと跳弾するだけで、効果があるようには見えない。
「うおおおっ!」
「自分に弾が当たらない事を各自祈れえええっ!」
「死ぬ、死ぬうううっ!」
「なんで、あいつがっ! 次から次へとっ!?」
「ちがう! あの戦艦が、あいつから逃げて来たんだ! とんでもないのと遭遇しちまった!」
それぞれが仲間に声を掛け合いながら、瓦礫と弾丸の雨を避けて燃える森を走り抜けていく。
「見えてきた! 飛び込め!」
休憩しようと目指していた洞穴が、あと少しの所。
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