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その時、まるで「そうはさせるか」と言わんばかりのタイミング。
空中戦艦の砲塔を竜が食いちぎり、軽々と放り投げた。
砲塔は、大きくこうを描いて、逃げ惑う大蜥蜴達の上に降り注ごうと迫る。
全員が、死を覚悟した。
しかし、砲塔は直撃しなかった。
竜が空中戦艦が放った小型艇に対して行った、全方位に向けた散弾銃の様な炎撃。
その一撃を喰らい、砲塔は落下前に完全に熔解してしまった。
溶けた金属の雨が触れるすべてを焼きながら地上に降り注いでいく中、なんとか全員が洞穴に雪崩れ込んだ。
「まさか、助けられた、のか?」
もう大丈夫と、フードの男が洞穴の中から竜を見ると、竜が深く息を吸い込んでいるのが見えた。
竜の口の奥では、炎と言うよりは光球と表現した方が適切な、眩い何かが圧縮されていく。
「違ったらしい! 伏せろ!」
竜が発した一筋の熱線。
射線上の森と山ごと、空中戦艦が真っ二つに切断されてしまった。
断面は抵抗なく熔解し、一緒に切断された川と湖からは、爆音と共に水蒸気爆発が立ち上った。
そんな攻撃を喰らっては空中戦艦と言えども、ひとたまりも無い。
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