ほのかの大岡裁き

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ほのかの大岡裁き

「夏になると想い出す 遥かな尾瀬 遠い空……ねえ、ほのか、尾瀬ってどこ?」 「わたしに聞かれてもねぇ……わたしだって尾瀬なんかどこにあるか、わからないわよ。きっと、日本のどこかでしょう?」 「ほのか、馬鹿にしているでしょう?わたしだって、それぐらいの事はわかるんだから!」  むくれて、頬を膨らませる愛海にわたしは、ニコッと笑って、 「冗談、冗談よ。確か群馬県だったと思うよ。水芭蕉が一面に咲いているみたいだよ」 「そっかぁ、行ってみたいなあ……これからがシーズンでしょう?で、群馬県ってどこ?」  わたしは苦笑して、 「関東の方じゃないの?」 「関東かあ……遠いなぁ……」  愛海はそう言って天を仰いだ。まあ、単なる思いつきだろう。わたしは気にしない事にした。 「もうそろそろお昼休みが終わる時間になるよ、いこっ!愛海」 「うん、わかった」  親友の手を取って、屋上から階段を降りようとした時に後ろから声がかかった。 「ちょっと待ってくれないかな?大城さん」
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