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翌日からも、力を扱う訓練と、体力を付けるための走り込みは行われたが、子供たちは大いに楽しそうに訓練に臨んでいた。
草原を駆け抜け、夜帰ったら、たくさんご飯を食べて、それぞれの家族と笑い合いながら、明日、皆と会えるのを楽しみにして、眠りに付く。そんな日々を繰り返す中、時が駆け抜けるのは実にあっという間だった。
彼らが初めて自分の力を目にした日から、数日が経過した今日も、子供たちは、これから始まる訓練に胸を躍らせながら家から出て行くのだった。
一番最初に外に出ていたカリュウは、家から出て来たリキュウと彼の父親を視界に入れると、満面の笑みを浮かべて「リキュウー!」と、うれしそうに声を上げる。
「カリュウ、おはよう」
リキュウもまた、カリュウを見るとうれしそうに声を上げる。
リキュウの父親であるルイは、笑顔を浮かべ、カリュウの後ろに立つランズとマリーの元へ歩いて行った。
リキュウとカリュウは両親に着いて行く事なく、二人で笑顔を浮かべながら「おはよ!」と、あいさつを交わしていた。
次に両親とともに家から出て来たティランが、カリュウたちを視界に入れると、一目散に二人の元へ走って行く。
「カリュウ! おめぇ昨日俺より早かったからって、調子に乗んじゃねぇぞ!」
彼らの元へ到着したティランが、けんかを売るように言うと、話し掛けられたカリュウは少し困ったような顔をして「なんで、ティランはいつも僕に怒ってるの?」と、口にした。
「お、怒ってねぇよ!」
ティランはびっくりしたように目を丸くして言う。
ティランは、自分が話すと困ったような顔をするカリュウに、いつも話し掛けに行っていたが、言葉遣いが汚いせいなのか、誤解を招く事が多いようだ。
「ティランは怒ってないと思うよ。カリュウと仲良くなりたいんじゃない?」
カリュウの隣に立つリキュウが、小さな声で言うが「うーん、そうは見えないけど」カリュウは首をかしげながら、眉に皺を寄せていた。
どうやら、カリュウとティランはなかなかうまく行っていないようだ。
訓練が始まってから、ティランなりに皆と仲良くなろうと頑張っていたが、カリュウとの相性は悪いようで、何度話しても、カリュウはティランにあまりいい顔はしない。それでもこうして話し掛けに行くのは、ティランなりに仲良くなろうと努力しているのだろう。
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