第三章 力との闘争

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 五歳まで、身動きも取れない状況で育ったにしては、普通の十歳の子供ともし運動で競ったら圧勝するであろうと言うほどの体力は付いた。だが、奇跡の子や神々の子たちとの差が埋まる事はなかったようで、訓練ではいつも最下位になってしまうユハンは、一人でする訓練を好んでいた。皆、楽しそうに受ける訓練を、自分だけ好まない事から、孤立しようとするユハンの手を引くのはいつもシエルだ。  一度(ひとたび)輪の中に入ってしまえば、男の子たちはユハンに普通に話しかけるため、浮いている様子は見受けられないが、彼女からすると、運動能力の差はコンプレックスのようだ。 「うん! ユハンは何の訓練がいい?僕鬼ごっこだったらいいな~!」  カリュウは笑みを浮かべてユハンに話しかける。 「え?あ……ユハンは、かくれんぼがいい」  無邪気に話すカリュウに()られて笑顔を浮かべたユハンは、奇麗な声を響かせながら答えた。 「かくれんぼ! 僕もかくれんぼがいい!」  ミライは手を上げてユハンの意見に賛成する。 「リキュウも、かくれんぼ、好きだもんね!」  カリュウが楽しそうに笑いながら言い、リキュウは「うん、楽しいもんね」と、ユハンに笑顔を向けて口にした。 「えー俺は鬼ごっこ」  ティランは(にら)むような目付きでミライを見ながら言うが、彼は決して(にら)んでいるつもりはない。 「あー! ティランまた(にら)んだ!」  ティランの目付きの悪さをからかうように口にしたシエル。 「に、(にら)んでねぇよ!」  ティランは再び驚いたように目を丸くすると、ミライがくすくすと笑い始めた。 「おーい! 訓練、始めるぞー!」  鬼ごっこかかくれんぼかで盛り上がる子供たちに、土の子の父親のランズが笑いながら声を上げた。 「はーい!」  シエルが大きな声で答えて、ユハンの手を引きながら進み始めたと同時に、子供たちの足も大人たちの方へ向かって行った。  笑顔を浮かべて楽しそうに話す子供たちの輪の中に、ユハンが笑みを浮かべて彼らの話しに参加している姿が見える。 「楽しそうですねぇ~」  そんなユハンの姿を微笑ましく見守るサイキは、優しく暖かい声を響かせた。 ーーー・・・ ーー・・ ー・
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