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平和な国があった。そこは小さな島国であったが、文明も発展し、食べ物も豊富であった。そして、生活を支える数々の複雑な装置も開発され、人々の暮らしはとても豊かなものだった。
文明が発展していた平和な国の他国との交流は、争いもない良い関係を築いていた。そんな平和な島国、エフティヒアに、甲高い奇跡の泣き声が響き渡る。
「……オギャア! オギャア!」
こうこうと輝く、光に満ちた赤ん坊の泣き声が。
「見て、とてもかわいい子」
目を細め、幸せそうにほほ笑む女性は、赤ん坊を抱きながら小さくつぶやいた。
「よくやった! よく頑張った」
小さな赤ん坊を見ながら、一人の男が目に涙をためて喜びの声を上げる。
一組の若い夫婦が、出産を終えたのだ。
あまりの感動に、彼らは気付いていなかった。周りの医者や看護師たちが、赤ん坊を見ながら目を見開いていた事を。
いつもなら、笑顔を浮かべて夫婦に声をかける医者や看護師たちは、驚きのあまり、目を丸くしなら戸惑い気味に口を開いた。
「あ……あの」
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