第一章 光と闇

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「私、先生たちに知らせて来ます!」  看護師の一人が喜びの声を上げ、小走りで、分娩室(ぶんべんしつ)から出て行った。  男は涙を流しながら、妻と光る赤ん坊を見詰め感激の声を上げる。 「間違いない。まさか”光の子”が俺たちの子供で産まれて来るなんて、奇跡だ」  バタバタとあわただしい音が響いて来る中、お産をするために設けられた部屋の中は光と感動で満ち(あふ)れていた。感動し涙を流す夫婦に、口元をおさえて目を丸くする看護師。 「神崎さん!」  あわただしくかけて来たのは病院内にいる医者や看護師たちだ。彼らもまた、奇跡的な瞬間に感激し、笑顔を浮かべていた。  神崎と呼ばれた男は、妻と赤ん坊から視線を外し、駆けつけた先生たちへ笑顔を向けた。 「華奈子(かなこ)さん、頑張りましたね」  看護師は涙を浮かべながら、”光の子”の母に声をかけた。 「いいえ、皆さんのおかげです。ありがとうございます。(きよし)さんも立ち会ってくれてありがとう」  華奈子は夫の顔を、目を細めて見上げた。清は、華奈子の腕に手を置いて優しくほほ笑み返している。 「大切にお預かりしますので、お母さんは、少し、休んでいてくださいね」  看護師が優しく言い、光る赤ん坊を丁寧に抱く。 「よろしくお願いします」  華奈子は優しい声で言い、赤ん坊から手を離した。  神崎 清  神崎 華奈子 この二人の間に産まれた子供が、”光の子”と呼ばれる奇跡の子だった。  光の子が島国に誕生したと、数日後には世界中のトップニュースになる事だろう。  感動で胸を暖める中、何か強い思いを心に決めたかのように、清と華奈子は目を合わせ続けていた。  平和の象徴とされる奇跡の存在、”光の子”の親となった二人は、言葉を交わす事はなく、お互いの手を力強く握っていた。 ーーー・・・ ーー・・ ー・
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