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第1章 ママ
ママは夜中にいつも帰ってくる。
憂さ晴らしをぼくに向けてくる。
休日、常に本を読んでいるか、1人でトランプあそびをしていた。特に本を読むのは好きだ。自分の知らない世界が広がっていて、キラキラしている。本だけがいつもぼくを救ってくれる。
今日も幼稚園の図書室で借りた本を読んでた。夕方になってママが帰ってくる。
ぼくは本を閉じ、ママの方に恐る恐る向かう。
「・・・」
何も言わずに玄関先を見る。
「ママ今日ね、パパに捨てられちゃったの・・・」
「・・・」
合わせないようにしていたのにふと、目が合ってしまった。
「何よその目は。睨んでんじゃないわよ。なんとかいいなさいよ?!ねぇ!」
バチン!
僕の頬が真っ赤に腫れる。いつもこうだ。
「ひぐっ!、、、うぅぅ、、ひっく、、ひっく、、、」
泣いたら余計に怒られる。だから必死に堪えた。でも、なかなか涙は止まってくれない。
「泣くんじゃないわよ、うるさいね!」
また、今度はグーでお腹を殴られる。
「近所からうるさいって言われるの、静かにしてね。」
「ひぅっ、、、ひぅ、、」
バタリ。
ぼくは意識を手放してしまった。
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