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◇
一年後。
あの日、あの時、コンビニの店長になろうと安易に決めた時からあっという間に一年が過ぎようとしていた。
あれから、俺は研修やら実習やら、さまざまなことをこなしてようやく店を任せてもらうことになった。
正直、メゲそうになったし、放り出して逃げたくなったけれどそうもいかない。
実家の両親は、俺がコンビニの店長になると言った瞬間に反対したし、どうせ投げ出して辞めると決めつけた。
店を潰せば借金を作るんじゃないかと俺を疑い、駅前という好立地だと説明してもうまい話、出来過ぎだと切り捨てられ、話にならなかった。そんな毎日が嫌になってアパートを借りて一人暮らしを始めたが、メシもろくに食えていない。
太っていた体格は程よく痩せたが、すぐにストレスで食うからあげが美味くて、結局また太った。
ローソンの店長をしているから、いやでもからあげには目につくし、新商品も目に留まる。
美味しそうなもの、そうでないもの、パッケージから売れそうなものは直感で判断して店に置いていた。
今のところそれに狂いはなく、売り上げは少しづつだが上向きだ。
けれど、それとは反対に人手不足に慢性的に悩まされている。
駅前というせいなのか、客は皆そろってせっかちだった。対応出来るアルバイトならいいが、ついていけないと自動的にクレームに繋がる。
それでなくてもレジ周りではやる作業も多く(揚げ物、たばこの品出し、冬はおでん。ロッピー、荷物の集荷。などなど)、レジだけには集中出来ないし集中されたら困る。
つまり、周りを見ながら器用にレジを素早くこなし、時間通りに来る食べ物類を棚に並べ、かつ、文句を言いそうな客にも柔軟に対応する。
こういうことが出来るアルバイトとなると、意外と限られてきてしまうのだ。
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