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ヴィバル学院内にある小さな森。 草花は美しく育ち、小鳥やリスなど多くいるのに人はほとんど寄り付かないのです。 だからここは僕だけの息抜きの場というわけ。 「それなのになぜ貴女はここにいるのですか。いえ「どちら様でしょう」と尋ねるべきでした」 「私は」 「今日もいい風です。風が木々を通り抜ける音こそ人を真の幸せに導く呪文…そうは思いませんか」 「…おい」 「クス、本当はすべて分かっていますよ。まず貴女は剣術科のキト・ファルナで間違いないですね」 剣術は私の専門分野ではありませんが噂くらい耳に入りますからね。 今年の剣術祭を大いに賑わせた一人の女。その者が扱うのは身の丈を超える魔導剣、魔導剣とは名の通り魔導を秘めた剣のこと。魔導力は剣の大きさに比例するので貴女のそれは相当の力を持っていることとなります。 ですが噂によると「一度も魔導を発動させなかった」発動させなくともそれだけの大剣なので剣としての威力の方も桁違い、だから周りの者はワザと発動させなかったと思った。 でも本当はそうではない。貴女がここに来た理由に結び付きます。
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