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「へえ、けっこう詳しいじゃないかアンタ」 「アンタ?僕にはシャルト・イナスという名がついているのでそちらでお呼びください。貴女のことはキトと呼ばせて頂きます」 「はいはい分かったよ。…シャルトは鳥が好きなのか?」 左肩と右手の指先に止まっていた小鳥をそっと空へ帰す。 パタパタと可愛らしい羽音をたてて飛び去る小鳥。 魔導を使っても我々はあのように空を舞うことは出来ませんから。鳥だけが見せるあの姿に引き付けられないと言ったら嘘になってしまいます。 「あとお腹が空いたら食せるのも魅力でしょう。昨日の友は今日の食材です」 「食材って…」 「おっと話がずれました。キトはその魔導剣を使いこなすため魔導科首席であるこの僕を頼ってきた、そうですよね」 「そうさ。情けないけど今のままじゃ魔導剣士として胸を張れないからね」 「キトは魔導を少しも操れないのでしょうか」 「いいや、コイツ以外の魔導剣でなら容易いよ。でも私はコイツを使いこなしたい。難しいことほど挑みたくなる性格なんでね」 今一度キトの魔導剣を見れば本当に信じられない大きさです。今までに見てきた魔導剣の中にこれほどの剣なんてありません。 刃に少し手をかざせば手の平から感じ取れる不思議な魔導の波動。波動の例えとしてよく温かさ、鋭さ、があります。でもこの感じはそれらとはまた違う… ドキドキするような胸の高鳴り、そういったところでしょう。 「で?力を貸してくれるのか、くれないのか」 「クス、面白い。やはり魔導剣には一生を費やしても解けない謎があるようです」 「それは…いいてこと?」 「ええ。これからは授業が終わり次第この森に来てください、一緒に謎を解いていきましょう」
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