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客室の扉を開けると、精悍な顔付きの兵士が視界に入った。その青年は長い黒髪で、トウマに似た雰囲気を感じる。
戸惑うレナに気付くと笑顔を見せ、駆け寄って跪いた。
「レナ様にトウマ殿ですね。初めまして、タツマキと申します。それと……」
「クミと言います。よろしくねっ」
「ああっ、あなたがクミ殿ですね。宜しくお願いします」
トウマに似ているからだろう。微笑むタツマキを見て、レナは頬を赤く染める。トウマが屈託の無い笑顔を見せてくれたら……そんな妄想が膨らんで消えない。
「どうされました?」
「えっ!? あっ、いえ……その……」
怪し過ぎる返事に反応して、クミは黒い笑みを見せる。それに気付かない鈍感なトウマとタツマキは、何事も無かったかの様に話し始めた。
「直接お伝えしたい事があり、シンドウ様の指示で来ました」
「伝えたい事とは?」
「その前に、今月分の報告書から提出させて頂きます」
テーブルの上に心国の地図が広げられる。その地図には兵の配置や新しい施設など、心国で行った政治内容が細かく記載されていた。
「シンドウ様からの報告書か。いつも目を通しているが、この細かさは相変わらず凄いな。兵の配置や政治の内容など申し分ない……ん?」
地図の隅まで目を走らせると、先月までは無かった建物の印に気付く。
「それは新しく作られた兵舎ですね。この位置なら西、東、南のどの方角でも援軍を送る事が出来ます」
「そうか。北にあるから光国に……まあいい。とにかく見事な采配だ」
「有難う御座います。これは私とフブキで配置などを考え、毎月作成しております。そこまで褒められると照れますね」
予想外の返答だったのだろう。冷静なトウマが目を丸くして驚きを見せた。
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