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好きじゃない。
君のことなんて好きじゃない。
君のことなんて好きなわけない。
君のことなんてタイプじゃない。
君のような痩せ型の男子は好きじゃない。
君なんてただの同じ水泳部仲間のひとりなだけ。
それなのに。
君がバタフライを泳いだあの日から、わたしの中の君が変わってしまった。
体が細くて頼りないと思っていた君なのに、
荒々しく水をかきわけるその腕が、
普段は分からないのに、泳ぐと見えるその背中の筋肉が、
わたしの心と身体を熱くさせる。
「その腕に抱かれたい。その背中に唇を這わせたい。」
いつしか、わたしはそんなことばかりを想うようになっていた。
ファーストキスもも未経験である、いたって真面目な部活少女のわたしが
こんなことを想うなんて、どうしていいのか分からない。
正直、自己嫌悪。
それでも、わたしは今日もプールに君を探す。
これからもずっと。
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