プロローグ

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とても懐いてくれる後輩がいた。 この子のおかげで大学生活は毎日癒されていたと言っても過言ではないくらい。 ヒロトくんという3つ年下の彼は、私が卒業する時もそれはそれは泣いて。  最初は祝ってくれていたものの目が徐々に潤み、「留年になるような悪いことしませんか」とむちゃぶりを告げてきた。 どうしてここまで懐いてくれたのかはわからないけど きっかけはバイト先だと思う。 お母さんにあげたいとケーキを買いに来たヒロトくんの接客をして、それからよく買いに来てくれるようになって。 まさかの同じ大学だとわかってからは、お互いの友人に呆れられるくらいいつも私を追いかけて来てくれた。 先輩、先輩と可愛い笑顔で駆け寄ってくれて、いつの間にか私の方から彼の姿を探し歩くようになって。 試験が上手く行かなかったときも、バイト先でミスをして落ち込んだときも、彼の姿を見れば笑顔を思い出せる。 それくらい、大事な大事な後輩がいた。
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