118人が本棚に入れています
本棚に追加
「犬になったら、先輩のこといつでも守ります。いっぱい笑わせてあげたいし、辛いときや落ち込んだときもすぐ傍にいて、何でもします」
「ありがとう。・・すごく嬉しい。でもね」
「待ってくださいっその先は言わないでっ!」
それなら恋人としての方が断然嬉しいんだよ。
意を決してそう言おうと思ったと同時に、ヒロトくんが激しく首を振った。
ふわふわの髪がババッと左右に揺れて、本当に犬の水浴びみたい。
「先輩に釣り合わないことくらいわかってます、ほんとに重く考えなくていいんですっ、ただの犬ですから!」
「えっ、あの」
「でも役に立つ犬になります!」
勢いに押されて返事ができないでいると、ヒロトくんは不意にしゃがみこみ、私の靴を揃えたり床に落ちていた糸くずを拾ったり、立ち上がりざまに観葉植物の葉っぱを撫でたりし始めた。
役立つ・・アピールなのかな・・
「あ、ありがとう。でもねヒロトくん私も」
「あっあと、ご飯作ります!」
そういえば、一度スイッチ入ると話を聞かない子だったなあ。
ぼんっと胸を張ったヒロトくんにちょっと耳を傾ける私。
彼はイタリアンレストランでバイトをしていて、手際の良さから厨房を手伝うこともある。
私たちも何回かご飯を作ってもらったけどとってもおいしかった。
「掃除もするし買い出しも!何でも言ってください」
「それじゃ犬じゃなくて家政婦さんだよ、ダメダメ」
「良いんです、先輩のお役にたつなら。そばにいさせてください、お願いします」
「ヒロトくん・・」
最初のコメントを投稿しよう!