プロローグ

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「犬になったら、先輩のこといつでも守ります。いっぱい笑わせてあげたいし、辛いときや落ち込んだときもすぐ傍にいて、何でもします」 「ありがとう。・・すごく嬉しい。でもね」 「待ってくださいっその先は言わないでっ!」 それなら恋人としての方が断然嬉しいんだよ。 意を決してそう言おうと思ったと同時に、ヒロトくんが激しく首を振った。 ふわふわの髪がババッと左右に揺れて、本当に犬の水浴びみたい。 「先輩に釣り合わないことくらいわかってます、ほんとに重く考えなくていいんですっ、ただの犬ですから!」 「えっ、あの」 「でも役に立つ犬になります!」 勢いに押されて返事ができないでいると、ヒロトくんは不意にしゃがみこみ、私の靴を揃えたり床に落ちていた糸くずを拾ったり、立ち上がりざまに観葉植物の葉っぱを撫でたりし始めた。 役立つ・・アピールなのかな・・ 「あ、ありがとう。でもねヒロトくん私も」 「あっあと、ご飯作ります!」 そういえば、一度スイッチ入ると話を聞かない子だったなあ。 ぼんっと胸を張ったヒロトくんにちょっと耳を傾ける私。 彼はイタリアンレストランでバイトをしていて、手際の良さから厨房を手伝うこともある。 私たちも何回かご飯を作ってもらったけどとってもおいしかった。 「掃除もするし買い出しも!何でも言ってください」 「それじゃ犬じゃなくて家政婦さんだよ、ダメダメ」 「良いんです、先輩のお役にたつなら。そばにいさせてください、お願いします」 「ヒロトくん・・」
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