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プロローグ
二〇一六年八月某日 都内の病院 【××××】
貴方が死んだときのことを覚えている。
俺たちが最後に会話したあの日。
一八歳の、最後の夏。
あの灰色の空を、纏わり付く熱気を、甲高いサイレンの音を、泥で汚れたユニフォームを。
ニッと笑った、貴方の顔を。
よく通る、チームメイトを鼓舞する言葉は、リーダーとしての資性があった。受けた球は、エースとしての信頼に足るものだった。大きな背中は、何よりも頼もしかった。
そんな貴方を、野球が奪った。
濡れた土の色と、それを紅に染める貴方の血の赤。
そのまま、貴方は覚めない眠りについた。
………それから、十年がたって。
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