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「気が付いたのが今朝だったから、今になっちゃったんだけど、これ大事なものだから、返さなきゃって思って」目の前で、子犬みたいな風貌な男の子が、目を潤ませて、勇気を出して返してくれている。隣のクラスの名前も知らない女子を呼び出すのにも勇気がいるだろう。教室で言わなかったのも、私を慮ってのことだろう。これを教室でやられてたら困る。
「あんたに、あげるよ。」
おどおどしていた態度から、急にきょとんとした彼の変化が面白かった。名前も顔も知らない女子のために、ここまで真摯に対応してくれた彼のことが急に気になった。一日遅れだが、このチョコは彼に渡したくなった。ちょうど午後の授業を知らせる予鈴が鳴り響いた。放課後にでも、チョコの味と、彼の名前を聞こう。
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