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「実は、これを、、、渡さないといけないなって思って。」
バッグから取り出した包装に見覚えがあった。赤い包装紙にピンクのリボン、バレンタインディのチョコレートではテンプレートのようなその小さな箱。確かに私が買って、昨日の放課後に、目的の男子の靴箱に入れたものだ。なぜ、彼が持ってるの!?
「たまにあるんだけど、僕、靴箱が隣で、間違ってこういうことあるんだよ。」
言いにくいことをしどろもどろになりながらも、私に伝えようとしているその目を見ていて恥ずかしくなってしまった。女子の中で人気のある男子が隣のクラスにいる。勉強もでき、顔もハンサムで、バスケ部のキャプテンらしい。特に意中の相手もいないが、バレンタインというイベントには参加したい女子グループのノリから自分も抗えず、グループでデパートにチョコを買いに行った。登校時や昼休みは靴箱の周りには常に生徒が居て、入れられる感じではなかったので放課後、人の目につきにくい時間に、靴箱に放り込んで帰った。
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