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「暑い……」
8月が終わり9月に入り始めた頃、夕方にもなる時間帯で二人の22歳の女性がだるそうな顔で道路の隅で轢かれないように気をつけながら歩いていた。
なんとか中小企業に務めることができた二人は新調したスーツを着て帰り道であろう歩道をゆっくりと足を運ぶように進んでいた。
まだ夏と言わんばかりにジメジメしており歩道には蝉の死体が転がっていた。
主人公である帆篠灯里(ほしの あかり)は大きなあくびをしながらしかめっ面しながらその死体を蹴り飛ばした。
そんな主人公を止めるようにやめなさいという顔で頭を軽くたたくのは同じ中小企業に務める親友の琴吹紗月(ことぶき さつき)だった。
「いやいや、だって暑すぎて嫌になるじゃん?!」
大声を上げながらそんなこと言う灯里の言葉を無視して紗月は前を歩くだけだった。
顔をしかめふてくされながらも紗月のあとを追いながら横断歩道が青なので急いで走って行くもすぐに赤になってしまい肩を落とす。
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