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二人は思い出していた。
男性たちに言われた言葉を記憶の中から搾り出すかのように。
「ごめんね、君たちは本当は死ぬはずはなかったのだけれど邪神である彼が君たちを連れてきてしまったようで」
と、白のローブを身にまとった男性が謝ってきたのだ。
二人は死んだという実感がなかったのか首をかしげながら顔を見合わせていた。
「邪神であるあいつは自分のおもちゃを探していた。そんな時にお前たちの願いを聞いて勝手に死なせてここに連れてきてしまったんだ」
と、黒の男性は説明してきた。
まだわかっていない様子の灯里に詳しく説明するようにどこからかホワイトボードを取り出してくる黒のローブの男性はそこにマジックで書きながら口を開き二人を見つめた。
「あー、死に際に見た少年のことは覚えているな?」
その言葉を聞いて二人は体育座りをしながら何度も頷いた。
男性はそれが邪神だと答えホワイトボードに書き写した。
「じゃあ、あの時遊ぼうと言って自分のところに引き寄せたあと事故に遭って死んだけど……、それはうちらをここに呼び寄せるためのものだったってことですか?」
まだ確信は持てなかったが紗月もそうだ と思ったのか灯里の隣でゆっくりと顎を引き頷いた。
その二人の様子を見て男性たちは同じように頷いた。
「その通りだよ。本当は死ぬはずのなかった君たちがここに来てしまった。彼の思い通りにね」
そう言って白いローブを身にまとった男性はボードの近くに立ちながらうつむき加減で深くため息をついた。
その言葉に付け足すかのように反対側に立っている黒の男性が口を開いた。
「だが、君たちを元の世界に戻すことはできない。神の中での決まりでな」
神という言葉を聞き灯里たちは顔を見合わせた。
二人は確認のために伺うような顔でそれぞれの男性の方を見て口を開いた。
「じゃあ、あなた方は神様ってことですか?」
「神様ならなんの神なんですか……?」
二人の問いにそれぞれが口を開き答えた。
「俺は闇の神だ。灯里、お前のサポートをするように命じられてここに来た」
「僕は光の神だよ。僕は紗月ちゃんのサポートを任されてるんだ」
と、交互に言い出すのでサポートと言って首をかしげる灯里に対して、紗月は目を見開きながら光の神をジッと見つめた。
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