第1章 ミヤコ

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「ミヤちゃん」 お風呂から上がった彼が飛びついてきた。 同じシャンプーの匂い。同じボディーソープの匂い。 今日は、今日だけは、あなたと一緒の体になるんだね。 「なぁに」 「…かわいい」 私は嬉しそうに、照れたように笑う。 実際そんな言葉、星の数ほど言われてきたし、今更嬉しくないし照れもしない。 「うそ…」 「ほんとに、まじで、かわいい」 「ありがとう…」 言ってやったぜ、いぇーい、これで君は俺にムチュウ… なんて顔が見え見え。 その後すぐのキスも見え見え。 私もなんだか気持ち良さそうな顔しちゃってさ。 ミヤコ、演技上手になったね。 おかしいな、キュンてしたのに 全然濡れないの。気持ちが。 彼に触られてるのになぁ。 「めっちゃ濡れてる」 そりゃそんだけ中いじられたら出るもん出ますわ。 「やめてよ」 「やめない」 優しく、なんて嘘じゃない。 色々な体位、好き勝手にやっちゃってくれてさ。 えぇ?好きだよ、こういうの。 ミヤコはドMだからね。 でもさっきから、彼とやってるのはミヤコであって ミヤコじゃない。 私には当事者意識ってやつがない。 だからかな、冷静なの。 こんだけ色々考えられる暇があるの。 「気持ちいい?」 「…言いたくないっ…」 「言ってよ…感じてるミヤコが見たい」 更に激しく腰を揺らす彼。 …入ってる??? これ、さっきから思ったけど、入ってる???? 「気持ちいぃ…」 ミヤコって嘘ばっかり。
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