1章 宿題パニック

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1章 宿題パニック

「どういうことですか!」 教頭室に5人の児童の母親が怒鳴り込みに来ている。教頭の野中はハンカチで額を拭きながら母親のクレームを受け止めている。 「いやはや不快な思いをさせてすみません。ほら、川口先生も謝らないか!」 「いえ、私は教育上誤ったことはしておりません。謝る必要はございません」 4年4組担任の川口は涼しい顔をしてこう答えた。 「なにが誤ったことをしていない、ですか。こんなわけのわからない宿題、やりませんよ!」 「別にやらないでも構いません。私は痛くもかゆくもないです。ただ、子どもは、宿題をやろうとしない、宿題と向き合わないその姿勢を、ちゃんと見てますからね。今回の宿題、点数をつけるのは子供達ですから」 どんなに保護者たちがわめいても、川口は意に介さない。 「評価するのは子供達って、無理に決まってるでしょ!こんな宿題!」 そう。今回母親たちが怒っているのは、子供達から急遽宿題をつきつけられたからだ。 なぜこのような事態になったのか?事の発端は、3日前にさかのぼる。
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