第5章

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少しテレビの音が大きいような気がして片手でテーブルの上に置かれたリモコンを手に取り、電源オフのボタンを押す。 「あ、あの・・・・・・、だ、大丈夫ですか?」 『え?』 「な、悩み事とか、あ、あるんですか?」 『悩み事・・・・・・』 「あっ、わ、私の思い過ごしなら、い、良いです、けど。な、なんか・・・・・・そ、そんな気がして。元気がな、ないなって、思って。あ、あのーー」 『うん、東條さんの言う通りかも。少し、元気ない』 「あっーー」 私に出来る事があるなら悩み事でも何でも聞きますよーーそう言おうとしてハッとした。 私、何を言おうとしているの? 間宮励の事は諦めるーーそう決めたじゃないか。彼の力になりたいなんて、身のほど知らずの馬鹿野郎だ。私なんか何の役にも立たない。彼にはもっと素敵な彼女が沢山いて、私じゃなくても良いのだから。 私がでしゃばった所で、彼に迷惑が掛かるだけ。 「わ、私ーー」 『でも、東條さんの声が聞けただけで充分かも』 ーーえ? お世辞だろうか。それとも社交辞令か何か。 私の声なんて、何の励ましにもならない。それに、私よりももっと適任な人が沢山いるはずなのに。 「あ、あの、わ、私で、よ、良かったのでしょうか?」 『うん。東條さんが良かったんだよ』 途端、足の裏からじわじわと何かが競り上がってきて、体中がむず痒くなった。顔と耳が妙に熱い。胸が堪らなく締め付けられるこの感じ。 ーーああ、好きだ。どうしようもなく。 好きな人にそう言われ、喜ばない人なんていない。
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