第6章

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しかし、このクラスで話したことのある男子はとなると、秋森君と間宮励だけで、それ以外の男子とは、私の名前すらも知らないのではというくらい全く交流が無い。 「突然で申し訳ないと思うが、宜しく」 秋森君のいつもの抑揚の無い声に、私と朝比奈さんは「こちらこそ宜しくね」と笑った。 「おっ、大体決まってきたなー。とりあえず今決まってる段階で班毎に纏まってくれー。ん? 秋森の所は、朝比奈と東條で三人か。他はほぼほぼ決まってきてるっぽいな。うむ・・・・・・」 「先生、私達、離れるくらいなら三人が良いんですけど、駄目ですか?」 朝比奈さんが手を上げて言った。 私もそう思ったので、彼女の言葉に同意するように自分には珍しく何度か首を縦に振って先生の顔を伺った。 折角、朝比奈さんと秋森君と班になれるかもしれないのに、人数が少ないからとバラバラに分けられてしまうのは嫌だなと思った。 我が儘かもしれないけど、それが正直な気持ちだ。 「そうだなー」 先生が顎の髭を触りながら名簿を見ている時だった。「すみません、ちょっと遅れました」と言う言葉と共に、教室の後ろの扉が開いた。 ーーあ。 その人物に心臓が大きく跳ねた。 「間宮ー、遅いぞ。始業式には居たのにどうして遅れたんだ?」 「いやー、ちょっと、ホームルームあるの忘れてて」 へらっと笑って謝る間宮励に先生は呆れた様子で「全く、お前は」とぼやく。 彼は、近くのクラスメートに「今、なにやってんの?」と聞きながら、自分の席に着こうとしたが「あー、ちょっとまて、間宮」と先生に止められる。 「ちょうど良いや。お前、秋森の班に入れ」 「え?」 先生の言葉に、私だけではなく数名の声が重なった。
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