第6章

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「秋森のところ、今、朝比奈と東條で三人だけなんだよ。そこに間宮が入れば四人になるからな。本当は五、六人が良いんだけど、まあ、四人くらいなら構わないだろ。それでどうだ?」 先生はこちらを見て訊いてきた。 「バラバラに組まれるくらいならそっちの方が良いかな。私は全然構わないよ」 と、朝比奈さんが言った。 確かにそうだ。ーーでも、これ以上彼と関わってしまったら、自分の気持ちの整理が出来なくなってしまうかもしれない。そう思ったら、直ぐに答える事が出来なかった。 「東條さんはどうかな?」 朝比奈さんが眉を寄せ心配な目で私を見詰める。 朝比奈さんは私と班になりたいと言ってくれた。私も勿論彼女と一緒に修学旅行を楽しみたい。もし、ここで私が断ったら、皆、ばらばらになってしまう。そしたら、朝比奈さんの気持ちを無視することになるだろうし、皆にも迷惑を掛けてしまう。 ーーそれは、嫌だ。 自分の都合でめんどくさい事になってしまう方が辛いと思い、「わ、私も大丈夫です」と言った。 ーー大丈夫。 とりあえず今は、私の気持ちはあと回しに考えて、修学旅行を少しでも楽しむことが最優先だ。 「・・・・・・二人が構わないなら俺もそれで良い」 秋森君がそう言った後、「間宮も良いかー?」 という先生の間延びした質問に「俺は誰でも大丈夫だけど」と彼は答えた。 残りの時間は決まった班毎に別れ、班長と副班を決める事になった。 「ーーなんか、突然で良く分からなかったけど、宜しくね」 私と秋森君が隣同士なので朝比奈さんと間宮励が私達の所に集まる形となり、間宮励が後髪を触りながらそう言った。
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