第6章

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「わ、私の事を気にしているのなら、そ、その、全然、大丈夫……ですので、こ、この四人で、修学旅行、い、行きませんか?」  自分の気持ちを皆に伝えるのって、どうしてこんなに勇気がいるのだろうと、震える手を見ながら頭の中でぼんやりと思った。でも、不思議と後悔はしていない。自分はもう、「伝えない後悔」を腐るほどしているからだ。 「--東條、頑張ったな」  --え?  小さく聞こえた言葉に顔を上げると、隣に座っている秋森君が目を細め、口元を和らげた。 「周りの班も、班長と副班決め始めてるし、間宮が今から言っても難しいと思う。東條の言うとおり、このメンバーで確定で良いんじゃないか? それに間宮が心配するほど、俺も東條も小さくねぇよ」  秋森君は間宮励の目を見ながらそう言った後、シャーペンを手に取り、「さっさと班長とか決めようぜ」と言い、顔を逸らした。  秋森君の言う通り、教室を見渡すと殆どの班が、それぞれの役割を書く指定の用紙にペンを走らせていた。何人かはじゃんけんをして、班長を決めている班もある。各班で纏まって相談しているせいか、班毎の雰囲気が出来上がっており、今更、メンバーを変えてくれと頼んでも空気を悪くしてしまいそうだ。 「ごめん、俺、変な事言ったかも」 「あっ、え、と……ま、間宮君が謝らなくても……、あ、ありがとう、ございます」 「うん」  彼が詫びの言葉を口にしたので、慌ててお礼の言葉を口にした。間宮励が謝る事など何一つなく、それで彼に嫌な思いをさせてしまったのなら申し訳ないと思った。  恐る恐る彼の顔を窺うと、「こちらこそありがとう」と言って微笑み返された。 「っ……!」  彼と目が合った途端、胸が轟き、鼓動が早くなる。慌てて視線を逸らし小さく息を吐く。  「心臓に悪過ぎて困る」と甘い嘆きを心の内に零した。   
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