第6章

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「もし、一部の女子から恨まれるような事があったら、励を私と東條さんで呪っちゃうからね」  「ね、東條さん!」と冗談めかして言う朝比奈さんに苦笑いを返す。 「呪うって何? そういうネタはもう古いよ」  間宮励は朝比奈さんの軽い冗談を笑って返す。  こうやって目の前の二人を眺めると、本当に絵になる二人だなと思う。しかし、遠目で見ていた時はお似合いのカップルだと感じていたが、近場で見ると、二人の間に恋愛感情というものが無い事が良く分かる。過去に二人が恋愛関係だった事は知っているが、今はもうすっかり仲の良い友達関係が板に付いている様子だった。  ーー良かった。  気不味い空気になるのではないかと心配したが、今の二人のやり取りを見ている限りだと杞憂にしか過ぎなかったようだ。 「班長は誰にする? 公平にじゃんけんが良いかな?」  朝比奈さんはそう言って片手をグーにしてじゃんけんをするポーズを取ると、秋森君が口を開き「俺がやろうか?」と手を上げた。  彼の自主的な行動に、私を含め三人共、驚きの声を小さく上げる。  そんな三人の様子を気にせずに秋森君は言葉を続けた。 「じゃんけんで決めて、負けた人に面倒な仕事を押し付けるくらいなら、俺がやろうかと思ったんだが。駄目だったか?」 「秋森君、イケメン!意外に優しいだね~」 「別に朝比奈がやっても良いんだが」  秋森君のいじわるな言葉に、朝比奈さんは口をもごつかせながら「班長、宜しくお願いします」と両手を合わせて誤魔化すように首をこてんと横に傾けた。
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