第6章

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「なんか、雰囲気が変わったね」 ーーえ? 「ふ、雰囲気、ですか・・・・・・?」 夏休み前から、髪型も変えておらず相変わらず化粧っ気もない。 「な、何も、変わって、な、ないですが」 「そう? 少し明るくなったような・・・・・・どことなく女の子っぽさが増した感じ?」 「は、はあ」 「少し可愛くなったかも」 「・・・・・・っ!?」 突然の言葉に思わず両手で顔を隠してしまった。 恥ずかしい思いと居たたまれないむず痒しさと、何より好きな人から言われる「可愛い」の嬉しさが、同時に顔に集まってきて、絶対に変な顔になっている。 ーーこんなのお世辞なのに。分かってはいるのに、体は正直に喜んでしまう。 これでは、私の気持ちがバレてしまうのは時間の問題なのでは・・・・・・。 「もしかして、東條さん、照れてる? 」 「っ~~!」 「ははっ、素直過ぎ」 必死に自分の気持ちを抑えようとしている私の気も知らず、彼はいつもの爽やかな笑いを溢した後、私とは逆の余裕そうな表情で「そういうところも良いよ、可愛い」と言葉を続けた。 はっきり言って心臓が持たない。 「か、から、からかわないでっ、く、ください・・・・・・」 「ごめんごめん。でも本当だから。俺の言葉に素直に反応してる東條さん見ると、ああ、女の子だなって、可愛いって思ったよ」 カァッと耳まで熱くなっていくのが自分でも分かった。 ーー女の子・・・・・・。 当たり前の言葉だけど、彼が言うと歯痒く感じてしまう。 ちゃんと女の子として思ってくれているんだーーそう思うと、安堵を含んだ喜びが胸をいっぱいにした。 「あ、の・・・・・・ありがとう、ござ、います」 「うん」 指の隙間から、こっそりと彼を除き見ると、優しい瞳で私を見る彼と目があった。甘い微笑みを返されただけで、脈がまた加速する。 「ーー修学旅行の事だけど、まさか東條さんと一緒の班になるとは思ってなかった。改めて宜しくね」 「こ、こちからこそ・・・・・・」 私も間宮励と一緒の班になるとは少しも思っていなかった。不思議なことに、こうやって彼が目の前にいても実感が湧かないでいる。
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