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暫くの沈黙を破ったのは間宮励の方だった。
「前にも言ったと思うけど、俺、子供みたいな独占欲があるみたいで……、秋森と東條さんが仲が良いのを見ると、なんか、少しだけ、イライラするんだ」
そう言われ、思い出すのは二学期の始業式の日の事だった。
「自分から友達になりたいと思ったのは、東條さんが初めてだから……。そのせいか、自分以外の誰かと東條さんが話してるのを見ると、羨ましくなる。だから、秋森にも冷たく当たってしまうのかもしれない。もし、それで東條さんが嫌な思いしているなら、気を付けるから」
彼は、切なげに眉を歪ませ、真っ直ぐに私の目を見詰める。私は、今言われた言葉を理解するのに数秒掛かった。何て返して良いか迷っていると、彼はそっと私の手に触れ、「俺の事、嫌いになった?」と聞いてきた。咄嗟に「そんなわけない」と首を横に振る。
「ま、間宮君が、わ、私の名前、憶えてくれていて、うれ、嬉しかったって……ま、前に、い、言いましたよね……? だ、だから、私にとって、間宮君は、じゅ、十分に、特別な人ですから」
正直、どういう言葉を掛ければ良いか分からなかった。だから、私だったら何て言われれば嬉しいのかを考えてゆっくり話す。
友達が他の誰かに取られそうで気持ちが焦ってしまう経験をしている人は、少なくないと思う。
でも、いつも自然と周りに人が集まってきた彼は、今までそのような気持ちがあること自体、知らなかったのかもしれない。
まさか、その相手が私だなんて……。
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