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「脳を移植した。こんな事も予測していたのか、適合者まで用意されていて……私は最初は断った、所詮は嫁の為、娘の為のエゴでしかない、潰えたのならそれでいいと。だが言われたのだ、このまま殺されれば家は取り潰しとなり、娘も殺される事になるだろう。多くの同胞の失った命すら、私の野望の土台なのだと……簡単に手放せない命になっていた。私はこの体の持ち主の為にも、目的を達成しなくてはならなかった。ノイマンは元より優秀な技術者で宇宙開発局の幹部だった男だ、既に私の計画の基礎部分は作り上げていて、「あとは頼む」と……」 顔色が悪いノイマンに、カイルはハッとする。 「ノイマン、具合が悪いのって、移植の……!? 薬は飲んだのか?」 度々薬を飲む姿を見ている、何の薬かなどと気にした事もなかったが、免疫抑制剤なのだと判った。 「……三人の身の振り方を考えたのは私だ。アリアは一人ぼっちで淋しいだろうとエイルを……サシャはアリアを産んですぐに亡くなった、私は公には銃殺された、会う事もできない。 ライルは荒野でひたすら研究に没頭できるようにと旧市街へ。 お前は……私の手元に……カイル」 引き出しを漁るカイルの手を、ノイマンは力強く掴んだ。 「冷たくして悪かった。下手に優しくするとグズグズに甘やかしてしまいそうで……もうやめよう、休もうと言いたくなってしまうから……」 「こんな時にやめてくれよ……!」手を振り払えず、涙を堪えて言った「薬は!?」 「薬はいい……私のやりたい事は終わった」 とても力強い声だった。     
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