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「お前はできあがった船にアリアを乗せて宇宙へ出ろ。もっと仲間をつくってやりたかったがそれは叶わなかった、幾人かのサリファには知らせる事は出来た、既に星を離れた者いる、外で逢えるといいな。だが、数十人だ……また情報が漏れてはと……せめてお前達だけでも伸び伸びと生きて欲しい。この星は、間も無く壊滅的打撃を受ける」
「何を言って……」
「ライルだ。この地震はライルが引き起こしている。もって丸1日だと連絡を受けている。それまでにこの星を離れろ。お前達が幸せに暮らせる星を目指せ」
「あなたも一緒に……!」
「こんな姿で、アリアに逢いたくない。それにもう、長くはない……」
ノイマンは再び大きな溜息を吐いた。
「カイル、愛している。エイルも、ライルも……私の大事な息子達だ」
「こんな時に、卑怯だ……!」
「お前は、アリアを愛しているか」
「──はい……!」
カイルは涙声で答えた。
ノイマンは嬉しそうに微笑んだ。
「合格だ、アリアを頼んだぞ」
「せめて、アリアに会って……!」
「何を言えばいい?」
ノイマンは天井を見つめて言った。
「つまらぬエゴで多くの命を犠牲にした私が、どんな顔をして会えると言うんだ?」
「でも……アリアはきっと判る……!」
ノイマンは淋し気に微笑んだ。
「とっくに死んだ人間だ、亡霊が現れたところで仕方あるまい」
目を閉じて大きな溜息を吐く、そのまま逝ってしまうのか、と思えた。
「──ノイマン?」
「ん?」
目を開けずに答えた。
「俺……多分、あなたに愛されてたって知ってたかも」
カイルの言葉に、片目だけ薄っすらと開けた。
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