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*** 時計が夜を知らせる。 部屋は一等から三等まで分けたが、単に広さの違いだけだ。 たった五人の乗客は、それぞれ一等の部屋を使う事にした。 カイルの部屋のドアをノックする音がした、返事の前にドアが横にスライドしてエイルが姿を見せた。 「少し話をいい?」 カイルが頷くと、エイルは静かに入って来た。 部屋は、落ち着くまではと一人一部屋だ、恋人であるハザとルシールも別室にしてほしいと言う。 二人きり、テーブルをはさんでソファーに座った。 「話って」 カイルが促すと、エイルは頷き話し出す。 「ノイマンからは、君には何も聞かせていない、無事星を離れ、カイルが望むなら僕が知っていることを話してやってほしいと頼まれている、どうする?」 カイルは視線を落とし、小さな溜息を吐いた。 「──どうして……エイルもライルも全て知っていたのに、俺だけ除け者に……」 ライルが来たことは、エイルにも知らせた。エイルはライルも連れて宇宙へ逃れるよう指令を受けていたが、エイルが船外に出た時には、もうその姿はなかった。 探しに行く時間は、なかった。 「君は一番政府の近くにいた、それだけだ」 エイルは怜悧な瞳で話す。 「僕がノイマンから連絡を受けたのは成人直前、君が移民船の設計を始めた頃の筈だ。それまでは女中の一人からこっそり話は聞いていた、あなたには大事な使命がある、アリアを守り続け、いずれ来る『時』に備えろと。本来なら君にもそのような事態があったろうが、ノイマンは話したがらなかった、君が優しすぎると懸念していた。また湯水のように知識を蓄えていく君が愛おしいと。宇宙船を一人で設計させたのは、万が一宇宙のど真ん中で壊れても対処できるのにだよ。万が一未開の土地に不時着しても生き残れるように護身術も学ばせて」 「──そんな」 「君に全ての愛情を注いだと言ってもいいだろうね、アリアに注げなかった愛情を、その分……最後の通信の時、僕にも言ったよ。きっと僕も傍にいたら抱き締めずにはいられなかったろうって」
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