【カイル】

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*** 銀色の髪の人々の中、浮いたようにいる黒色の髪の青年がいた。 台に置かれ分解されたエンジンは戦闘機の物で、近頃不調が多く苦情が出ていた。 その設計をしたのは黒髪の青年ではなかったが、原因究明を依頼され、皆で議論を交わしていた。議論と言っても黒髪の青年が言う事を、周囲の銀髪の者達がメモを取るだけだが。 「カイル」 呼ばれて黒髪の青年は顔を上げた、黒い瞳がドアの脇に立つ男を見た。 「局長がお呼びだ、局長室まで来いと」 言った本人は目も合わせない。 カイルも判っている、この世にたった一人しかいない黒い瞳の自分とは目を合わせたくないのだと。 カイルは立ち上がる。 「……後はお願いします」 カイルは言ったが、誰も返事もしない、それもいつものことだ。期待も指摘もせずにその場から離れた。 局長室へ来たカイルは、ノックもせずに入り無愛想に言った。 「……御用ですか?」 「お前に任せている船の設計の修正が遅れているようだが?」 銀髪碧眼の所長のノイマンは、書類から目を上げずに言った、その書類はカイルとは無関係の物だ。 カイルは大袈裟に溜息を吐く。 「小型機にトラブルが出て処理を頼まれたから、かなり遅れると言ったでしょう」 「その修理は一週間で終わらせろと言った筈だ」 「無理だから三週間待てと言った!」
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