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電話で声しか聴いたことのない『父』だった。
『エイル、つまらない人生を与えてしまってすまなかった、それでも君を愛していると言っても信じてもらえないだろう。言葉だけでは信じてもらえないだろうが、心から愛しているよ、アリアを育ててくれてありがとう、これからもアリアを頼む。できれば傍に行きたいよ、でもこの姿では会えないな。きっと傍にいたら、抱き締めずにはいられないだろう、本当に心から──』
「──作戦の全貌を聞かされた訳ではないんだ。僕が聞いていたのは決定事項のみ。ライルは主要都市を破壊し、その混乱に乗じて監視下に置かれているサリファは逃げる。君は3000人収容の船を作る、ねえ、何故3,000人か、知ってる?」
「え、さあ……」
「船の計画時の、サリファの総人口は2.500人程だからさ」
「……たったの、2.500人……!?」
「現在は更に減って2.000人余り、サリファは徐々に人数を減らしている。サリファの遺伝子は優性遺伝するけれど、政府が純血を避けるから少しづつ混血は進みサリファとして力を顕す者は年々減っている。何故政府はそんな生殺しのようなことをするか、サリファの力が怖いからだ。サリファと敵対したくないから受け入れたよう見せかけるが、できれば絶滅を希望してる──純血が3,000人、本気でかかれば30億人に余る銀色の髪の一族と、拮抗できる」
「──そんな力が!?」
エイルは微笑んだ。
「本当に君は何も知らないんだな……ああ、僕は、『あれ』を使ったからか」
「あれ、って?」
「アリアの家は、由緒正しいサリファの血統だ。その家の地下に巨大な水晶の塊がある、それは記憶装置のようなもので、先祖代々の当主の記憶が封じられている。それを読み取れるのはサリファだけ、能力を持たない者にはただの結晶の塊だ。それによると……」
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