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何千もの昔、血で血を洗う争いがあった。 豊かな大地を欲する者達と、その星を守ろうとする金色の髪の一族。かつてはヴェルザンディと呼ばれた者達とで、何度となく争いが起こる。 ヴェルザンディは強靭な肉体と特殊な力、高い知識により、敵を撃破し星を守り続けた。 ただでさえ強靭な肉体は、更に高い治癒力によって守られていた。 白刃戦となれば一歩も引かず、一人で100でも500でも倒した言う。 しかし、度重なる戦争は、疲弊をもたらす。 ヴェルザンディの命も、永遠ではない。 一人、また一人と息絶え、やがてその人数が三桁まで減った時、ヴェルザンディは降伏した。 「──その歴史があってもなお、サリファは従属し続けた、戦争はこりごりだと思ったからだ。でも、ノイマンの心の底では燻っていたんだろう。サシャの事がなければ危険な計画など立てなかったかのかもしれない。銀色の髪の一族に辱められて一人娘を残して若くして死んだ愛しい人がいなければ……」 カイルは小さく頷いた。 「当初は、旧市街を整備し直して、そこに全サリファを移住させるつもりだったようだ。もちろん今まで通り人口調整はするなど、平和的な計画を立てていたらしい。しかし協力者が増えれば増える程ほころびも生まれる。誰かが密告したとみるのが一番だろう。胎児の処分はノイマンがしたそうだ。生命維持装置を切ればいいだけなのに、一体一体人工子宮から取り出してへその緒の切らされたと、女中から聞いた」 聞いて、カイルはぎゅっと目を固く閉じた、その姿を想像して胸が締め付けられる。 「本来ならそこで諦めて良かったはずの計画だが、賛同者は少なくなかった。なにより僕たちの存在がノイマンを苦しめたようだ。おぞましい黒髪──それを晒して生きてる僕達、正確には君を見て、どうしても外へ逃がしたいと思ったようだ。誰もが気持ち悪いと思う黒髪が、とても美しく見えたと──」 幼い頃、撫でてもらった記憶が甦る。
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