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「ねえ──自分で言うのも恥ずかしいけど、サリファは見目麗しいものが多いんだ、何故だか判る?」
「え、さあ……」
「動物でも、見た目が可愛い方が可愛がられて、守ってもらえるだろう? サリファもその道を選んだろう、銀色の髪の一族に守られる道を。だってそうだろう? 本当ならとっくに絶滅していいはずの種族が、細々とでも生きながらえている。数が揃えば怖いが、少ない人数ならば鑑賞に値する、それがサリファだ。銀色の髪の一族は、無意識のうちに金色の髪の一族に畏敬の念をもっているんだよ。それでもサリファが生きにくいのに変わりはない、その好奇の目がおぞましいから。だからサリファは精神に異常を来たす、自らを破壊し始める、強靭で治癒力も高いその体を、内部から切り刻み始めるんだ、それは……」
「もう、いい」
カイルは頭を押さえて呻く様に言った、エイルはすぐに口を閉じる。
「だから、ノイマンは、自分の娘だけでも……」
「サシャの二の舞だけはさせたくなかったらしい。協力してくれた数十人のサリファにも希望を与えたかったようだ」
カイルは頷いた、ノイマンもそう言っていたと思い出す。
「銀色の髪の一族は、僕達を追ってくる手段はないはずだ、ライルが手を打ったから。僕達は新しい星を目指して進もう、見つからなければ永遠に宇宙を漂う事になってしまう」
巨大な船にたった五人を乗せ、広い宇宙漂い、幾つもの星を渡り歩いた。
だが、次に住む星は見つからない。
銀髪の一族は略奪と殺戮を繰り返してきた民族だった、サリファも元を正せば被害者で事情を理解はしてくれるが、やはり黒髪のカイルとエイルは奇異の目で見られた。
補給だけを済ませ、また次の星へ行く。
星系には文明を持つ星は多かったが、受け入れてくれる場所は皆無だった。
広い広い宇宙を漂い、地球にも立ち寄った。
まだ文明が発達していない地球に、自分たちは住めない、そんな星も少なくなかった。
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