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そうして、ようやく受け入れてくれたのが、テルディーダと言う惑星だった。
安住の地に、カイル達は幸せを噛み締めたが、それも長くは続かなかった。
テルディーダは資源が豊かな星だった。民族は争いを好まず、軍隊もなければ、大きな武器も持たない。
そんな惑星に目をつけない侵略者がいようか。
テルディーダの民族は交渉術には長けていた、それにより何度なく迫る戦争は免れていたが、いよいよ大きな戦争が起こりそうだと言われ、星を離れるように勧められる。
もう行き場所はないと思っていたカイル達は、その戦争に協力を申し出る。
「しかし、あなた達には関係のない戦争です」
時の女王が言う。
「お世話になったのは事実です」
一番年長のハザが言った。
「あなたがたが受け入れてくれなければ、我々は未だに宇宙の彷徨っていたことでしょう。その礼をするのが、今この時かと」
ハザの言葉に、カイルもエイルも、アリアさえ頷いた。
サリファではないルシールは、既にハザの子供をもうけ幸せな日々を送っていた。
「礼など要りません、今すぐ星を離れなさい」
女王は強く勧めた。
「陛下、失礼ながら、軍隊も持たぬあなた方に、彼らを退ける事ができますか?」
「何等かの譲歩を引き出せれば」
「我々は、あなたの懐刀(ふところがたな)となりましょう」
「……懐刀?」
「平素は姿を見せません。しかしいざと言う時には、その身を守る武器になります。我々サリファには個人差はありますが、一人が一師団に匹敵する力があると言われているんですよ、まあそれは大袈裟ですが。あなた方に比べれば体も強靭な上、不死に近いと言われています。そんな私たちを、用心棒として雇ってみませんか?」
女王は頷いた。
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