◇◆◇

18/20
前へ
/35ページ
次へ
そうして、ようやく受け入れてくれたのが、テルディーダと言う惑星だった。 安住の地に、カイル達は幸せを噛み締めたが、それも長くは続かなかった。 テルディーダは資源が豊かな星だった。民族は争いを好まず、軍隊もなければ、大きな武器も持たない。 そんな惑星に目をつけない侵略者がいようか。 テルディーダの民族は交渉術には長けていた、それにより何度なく迫る戦争は免れていたが、いよいよ大きな戦争が起こりそうだと言われ、星を離れるように勧められる。 もう行き場所はないと思っていたカイル達は、その戦争に協力を申し出る。 「しかし、あなた達には関係のない戦争です」 時の女王が言う。 「お世話になったのは事実です」 一番年長のハザが言った。 「あなたがたが受け入れてくれなければ、我々は未だに宇宙の彷徨っていたことでしょう。その礼をするのが、今この時かと」 ハザの言葉に、カイルもエイルも、アリアさえ頷いた。 サリファではないルシールは、既にハザの子供をもうけ幸せな日々を送っていた。 「礼など要りません、今すぐ星を離れなさい」 女王は強く勧めた。 「陛下、失礼ながら、軍隊も持たぬあなた方に、彼らを退ける事ができますか?」 「何等かの譲歩を引き出せれば」 「我々は、あなたの懐刀(ふところがたな)となりましょう」 「……懐刀?」 「平素は姿を見せません。しかしいざと言う時には、その身を守る武器になります。我々サリファには個人差はありますが、一人が一師団に匹敵する力があると言われているんですよ、まあそれは大袈裟ですが。あなた方に比べれば体も強靭な上、不死に近いと言われています。そんな私たちを、用心棒として雇ってみませんか?」 女王は頷いた。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

157人が本棚に入れています
本棚に追加