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「あと一週間だ」ノイマンは冷たく言う「既に製造に入っている船の修正が、大幅に遅れては作業員の手が空いてしまう、無駄な金が生まれるだろう」
「そもそもが、3,000人載せる為の客船の設計を、俺一人に任せるのが間違ってるんだが?」
「何を言うか。その為に幼い頃から知識を詰め込まれて来たんだろう」
言われてカイルは舌打ちする。
「言われた事もできないのなら、処分するぞ」
「……願ったりかなったりだ」
ノイマンは冷笑で受ける。
「心配するな、楽には死なせん。脚を切り、減らず口を塞いで、死ぬ間際まで仕事はさせるさ」
言いながらノイマンは、机の引き出しを開け、小さなケースを取り出す。
子供の頃から見ている光景だ、ノイマンは時間毎に薬を服用している、それが何かなどと気にした事もない。
「それでも終わりがあると判るだけ幸せだよ、二週間はもらうからな。今日は帰る」
言い残してカイルは部屋を出た、持っていた図面を床に投げ出したい気持ちを抑えて、歩き出す。
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