4

3/5
前へ
/15ページ
次へ
「あー、すっきりしたぁ」 「すっきりしたじゃないですよ。何なんですか選手権で優勝って」  琴乃に連れられて屋上まで来た瞬が呆れたように文句を零す。 「え? もしかして二月にあるスイーツ選手権のこと知らなかった?」 「それは知ってます。僕が聞きたいのは優勝云々のほうです!」 「ああ、目を白黒させてると思ったら、そっち? それなら大丈夫、小林君なら必ず優勝できるから」 「何で、そんなことが言い切れるんですか」 「小林君の力は、私が一番よく知ってるもん。それに一人が不安なら、私も一緒に出るからさ! 二人でバッチリ優勝決めちゃおう!」 「綾瀬……先輩」  何かに驚いた顔を見せた瞬が、急にフフフッと小さな笑いを零す。 「何だか、色々な意味で恭介先輩の気持ちが分かるような気がしてきた……――まぁ、それでもいいか」 「ん? 何か言った?」 「いいえ、何も。選手権に向けて、頑張りましょうって言ったんです」 「勿論! 目指すは優勝のみだからね」  来年のビジョンを頭の中で描いているのか、琴乃が楽しそうに笑う。続けて瞬も、穏やかな笑みを浮かべたその時――――。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

33人が本棚に入れています
本棚に追加