この身の全てを捧げても

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 浣腸や便秘薬はまとめ買いしてある。これでいくらでも排便が可能だ。   ぼくが求めるものは大弁財天女だけだ。お隠れになった彼女と、再び相まみえるため。ぼくはこの身の全てを捧げる覚悟だ。  浣腸をして、トイレに入り、脱糞。その繰り返し。  けれど、大弁財天女は影も形も無い。だがぼくは諦めない。  『エブリリュリュリュ!』  一瞬、大弁財天女に似通った芸香の香りが漂った。しかしそれも瞬く間に消えてしまい、あとに残ったのはただのうんこだけだった。もう一度だ!  『エブリュリュム!』  その形は、まさしく女体の神秘を現していた。よもや再臨の成功かと興奮したが、しかしその形状はすぐさま崩れ落ち、ただのうんこと堕してしまった。  だが間違いない。大弁財天女は、ぼくのすぐ近くまで来ている! 「オン ソラソバテイエイ ソワカ! オン ソラソバテイエイ ソワカ! オン ソラソバテイエイ ソワカ!」  懸命に真言を唱え、彼女の訪れを祈る。  そして……。 『エブリュリュヨムヨムスタッ!』  この香り。形。雰囲気。  糞と小便が絶妙なるマリアージュを生み出して、神の呼び水と化す。  ああ。これはまさしく……。  ぼくの……初恋の……。  けれど、もうその姿を見ることも感じることも出来ない。  何故ならばぼくは、文字通り全ての力を使い果たしてしまったんだ。  その行為に、一片の後悔もない。彼女と一瞬でも再会出来たのだから。  ぼくはトイレの床に倒れ込んだ。眠るように目を閉じた。  ぼくの心臓は、鼓動を止めていた。
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