水に流されるべき存在

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 いい具合にお腹の中がぐるぐると言っている。大腸の蠕動運動がうまくいっている証拠だ。  愛用のタブレットを片手に、おもむろにトイレへと趣く。タブレットにはすでに今朝の朝刊がダウンロードしてある。  そうしてズボンを脱げば、あとはもう自らの臀部が誘い込まれるかのように便座のベストポジションへとフィッテイングしていく。  そして数秒の時の後。朝一番の快音が鳴り響いたのだ。  『エブリブリスタッ!』  実にいい音だった。朝、鳥たちの謳うような鳴き声もかくやといった天上の音色。  それに「切れ目」もいい。トイレットペーパーなど使わずとも分かる。我が臀部には一切の汚れなど残ってはいないだろう。  そのたった一度の脱糞だけで、お腹の中に隠れ潜んでいた宿便までもが排泄されたような感覚さえ覚えた。幸先がいい。今日も素晴らしい一日が待っているに違いない。  脱いだズボンを穿いたあとに、ふと自らが放った「それ」が目に入った。  いや、違う。  見ざるを得なかったんだ。  それが、あまりにも美しい姿をしていたから。    ぼくはその朝。  自らがひり出した一本糞に恋をしたんだ―――。
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