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一瞬見ただけで美人だなあと思える人なんてそういない。みんなどこかしらに欠点があるものだ。鼻が低いとか一重まぶたとか。万人が共通の見解を持つほどの美人なんていないだろう。
しかし蓮は違った。実際に衣装を着せてみたらその辺の女優なんて相手にならないだろう。向かい側から来る人で行き過ぎるまでに目が合わない人はいない、それくらいの美しさだった。
蓮はさらに声も美しかった。透き通った水のような、しかしかすかに掠れた低めの声。アルトほど低くなく、ソプラノほど高くない、ちょうど中間。聞いていて疲れない心地よい声だった。短い言葉だけでしゃべっても物足りなさを感じさせない。私とは正反対の子だ。
そんな彼女が人気者にならないはずがない。初めの頃は蓮も目を輝かせて話しかけてくる女子に、面倒そうに対応していた。少なくとも、聞かれたことに単語だけのこともままあったが返事はしていた。そのクールさが逆に人気に拍車をかけて、蓮は無理やりクラスの中心に立たされていた。
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