第1話 突然の坂道

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家に帰ってから、私は通帳を開いた。 貯金は、10万程。 とりあえず今月の給料は入るから、年は越せる。 問題は、来年からの生活だ。 切り詰めて生活しても、1か月が限度だろう。 「直ぐに就職活動しなきゃ。」 私はため息をつきながら、テーブルに寝そべった。 思えば半年前の就職活動も、同じように貯金がなかった。 本当は正社員になりたかったけれど、背に腹は代えられぬで、今の契約社員になったんだっけ。 そして今度は、腰を据えて正社員になる為に、節約節約の日々で、この10万を貯めたんだよね。 「こんなにも早く、この10万を使う時が来るなんて……」 でもたかが、10万。 1か月の生活費にもならない。 「なんで、こうなっちゃったのかな……」 本日何度目かのため息。 なんだか今日は、やけにため息ばかり出る日だった。
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